表現する力を育てるために

 「社会が難しかった。」 今年の選抜Ⅱ入試を終えた3年生の感想です。確かに、昨年に比べて文章による説明を求める問題の数が増えています。「794年?→平安遷都」のように答えが明確であれば、生徒にとっても自己採点しやすいのでしょうが、記述式では何が正解なのか判断できません。それが「難しかった」という感想になるのでしょう。

 このような問題に対応するためには、単なる知識だけでなく、学習内容を自分なりのイメージと結びつけて理解する力、他の人に適切に伝える力が求められます。また、日頃から文章で表現する作業に親しんでおくことも重要です。いま1年生では、生活ノートに「文章で表現する」取り組みが行われています。例えば先日は、「アイオワ(州)を地図帳で調べるにはどのようにしたらよいか」というテーマが出されていました。これに対して、次のような解答(?)がありました。

 「まずはじめに、153ページにあるさくいんでアの最初を見ます。見るとアイオワ(州)とあって、55H3とあります。55H3の55はページを表すので、55ページをひらくと、北アメリカ州が出てきます。Hは列を表し、3は行を表すので、それが交わったところを見るとアイオワとあります。それがアイオワ州です。」

 端的で分かりやすい説明だと思いました。こんなよくできた解答はまだ多くはないですが、このような地道な取り組みを続けることで、表現する力が少しずつ身に付いていくのではないかと期待しつつ、1年生の取り組みを見守りたいと思っています。