ああ、世論調査(Ⅰ)

 本校の中学3年数学の教科書では、“標本調査”の章がありその中には“選挙結果の予測”というコラムがのっている。
 1936年11月に行われたアメリカ大統領選では、民主党フランクリン・ルーズベルト候補と共和党のアルフレッド・ランドン候補が争った。この選挙では大規模な“世論調査”が行われ、一方が予想をはずし一方が的中させた点で、後世しばしば話題となっている。
 外したのは、当時の大手の総合週刊誌リテラシー・ダイジェスト”誌で、約一千万人の読者に調査票を郵送し、回収した200万通をもとにランドン氏勝利を予想した。
 的中させたのは、ジョージ・ギャラップが主宰する“アメリカ世論研究所”で、わずか3千人という少人数からの回答をもとにルーズベルト候補の当選を予想した。 
2000:3の割合で多く調査票(サンプル)を集めた方が予想をはずし、少ない方が的中させた理由について、現在では次のように考えられている。
リテラシー・ダイジェスト”誌の調査は、購読者のうち自動車保有者と電話が利用できる人を対象にしたものであり、当時(1929年の世界大恐慌の7年後)ではかなりな富裕層を対象にしているが、“アメリカ世論研究所”の調査では“サンプル”の偏りをできるだけ小さくするため“母集団”(全有権者)をいくつかの互いに重なり合わないグループに分け、それぞれのグループに対してある割合で調査を実施するという方法(割り当て法)を取っている。
富裕層から得たアンケート結果と複数の階層から集めた結果とではどちらか全有権者の投票行動により近いか?(…以下、次回「ああ、世論調査Ⅱ」に続く)